今回は「イシューからはじめよ」についての書評です。
この本をお勧めしたい人
- 仕事における生産性を向上させたい人
- 仕事を頑張っているのに、成果を出せていない人
本の概要
昨今は働き方改革でますます労働時間が削減され、いかに短時間で多くの成果を出せるかが求められます。
本書では、やるべきことがたくさんある状況でも本当に取り組むべき課題(イシュー)を見出す重要性、そして意味のあるアウトプットを生み出すプロセスについて解説しています。
とりわけ筆者の経歴は、東大卒→マッキンゼーと超エリートなのですが、本の中でも仕事に対するプロフェッショナルの意識が高いと節々に感じました。
仕事がうまく進んだ時、僕が感じるのは「うれしい」というよりも「ほっとした」というものだ。クライアントや自分の会社に約束した価値を届けた、このこと自体が何とも言えない達成感を生む。
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 | 安宅和人 |本 | 通販 | Amazon
アツイ言葉ですね!仕事をやりきったそのものに達成感を感じることができるのは、とことん仕事に向き合っているからこそ出てくる言葉だと思います。本書ではそんなプロフェッショナルの仕事のプロセスを学ぶことができます。
私が紹介したい点が2点あります。
イシューを見極める
問題はまず「解く」ものだと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわちイシューを見極めることだ。
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 | 安宅和人 |本 | 通販 | Amazon
イシューとは、”本当に解くべき問題”です。仕事をしていると日々たくさんの問題が降ってきます。仕事の量が多くなると、片っ端から仕事をしていくとキャパオーバーで潰れてしまいますよね。。まず考えたいのが、その仕事は「そもそも解くべき問題なのか」ということです。
ここで、イシューなのかどうかを見極めるうえで大切な3つの条件を紹介します。
イシューを見極める3条件
本質的な選択肢である
例えば、ある農家の年間の農作物が減少した場合、「気候が悪かったのか」「動物に食い荒らされたのか」によって、対策の内容は変わってきます。
気候が悪かった場合は気候が悪くても作物が育つよう品種改良が必要になりますが、動物に食い荒らされた場合は、バリケードを立てたり、ビニールハウスを建てるなどが対策となりますね。
深い仮説がある
常識を否定したり、新たな方法で説明できるものは、イシューとなりえます。「地動説」や「ビックバン」などが当てはまります。
答えが出せる
「きのこたけのこ論争」はお菓子ファンの間で起こる論争ですが、結局のところどっちがおいしいかは人それぞれなので答えは出ません。長い時間をかけても答えが出ない問いは、生産性を下げてしまいますし、答えを出せる問いであることが大切です。
以上の3条件を考慮して、本当に解くべき問題が何かを見極めることが重要です。その上で仮説を立てて、言葉で表現し、最終的にどのような結論を言いたいのか落とし込んでいきます。
イシューを分解して全体像を見極める
仕事に取り掛かる前に、全体像を把握するのは大切です。
仕事や研究でデータ取りを行う方は、どんなアプローチをしていますか?私はとにかくデータ取りをして結果から何が言えそうか考えるという「猪突猛進」タイプですが、この本を読んで、いかに生産性が低いことかを思い知らされました。
本書では、生産性のある分析/検証として以下のアプローチを勧めています。
生産性の高いアプローチ
- 本当に問題解決すべき問題かどうかを見極める
- イシューを分解し、それぞれのサブイシューに仮説を立てて、ストーリーを組む
- 個々のサブイシューに対して、必要な分析・検証のイメージをまとめる
サブイシューとは、おおもとのイシューを扱える大きさにとして分解したもので、部分ごとの仮説が明確になり、最終的な全体像が明確になります。
これに対して、よく見られる生産性の低い間違ったアプローチが以下です
生産性の低いアプローチ
- イシューに関するデータを集めまくる
- データが出尽くした段階でその意味合いを考える
- それを並べてストーリーを組む
仕事にとりかかる前の段取りはそこそこに、まずデータ取りに取り組んでしまうと、データを取り進めるうちに、他のデータも必要だと気づいて2度手間になったり、時間切れになって思うような成果にならないことがよくあります。
データ取りをして、最終的な結論として何を言うためのデータなのか、その為に必要なグラフは何かを考えることで、生産性を上げていくことが出来そうですね。
おわりに
今回は「イシューからはじめよ」を紹介しました。
この本を通じて、仕事に取り掛かる前に「どれがイシューか」まず見極めることを意識していこうと思いました。さらには分析の段階に入る前も結果をグラフで示すところまで想定して、どれだけ下準備ができるかが生産性を高める方法なのだと学びました。
気になった方は、是非お手に取って読んでみんて下さい。
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